酸性ストレートで「ビビり毛」に?
失敗する3つの原因と予防法、
万が一の治し方まで解説
「酸性ストレートは髪に優しいと聞いたのに、失敗してビビり毛になったらどうしよう…」
「酸性=安全」というイメージがある一方で、施術の失敗に関する不安を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
「ビビり毛」とは、薬剤や熱のダメージによって髪が体力を失い、チリチリ、ゴワゴワ、あるいはゴムのように伸びてしまう深刻なダメージ状態のことです。
なぜ、「髪に優しい」はずの酸性ストレートで、このような失敗が起こり得るのでしょうか?
この記事では、まず1分間の解説動画で「失敗の3大原因」をご覧いただき、その後、サロンの視点から「失敗を未然に防ぐ予防法」 、そして 「万が一ビビり毛になってしまった場合の対処法(治し方)」を詳しく解説します。
1. 動画で1分!酸性ストレートの「失敗の3大原因」
まずは、なぜ酸性ストレートでビビり毛のリスクが生まれるのか、その主な原因を1分でまとめた動画をご覧ください。 この記事は、この動画の内容をさらに深く掘り下げた「詳細解説」となります。
2. 真実:「酸性=100%安全」とは限らない
動画でも解説があったように、「酸性ストレート = 安全・絶対に傷まない」という認識は正確ではありません。
確かに、酸性ストレートは髪の毛が安定しやすい「弱酸性」の領域で施術するため、従来のアルカリ性の縮毛矯正に比べて「キューティクルを開くダメージ(膨潤ダメージ)」を抑えられる傾向にあります。
しかし、酸性ストレートも、髪の内部の結合に働きかける「薬剤(還元剤)」と、高温の「ヘアアイロン」を使用する化学施術であることに変わりはありません。
「酸性」という言葉のイメージだけで、その扱いを誤れば、深刻なダメージ(ビビり毛)につながるリスクをはらんでいるのです。
3.【深掘り解説】ビビり毛を招く「3つの原因」
動画で紹介された3つの原因を、さらに詳しく解説します。
-
① 薬剤の過剰反応(過還元)
薬剤を必要以上に長く放置すると、「過還元」という状態になることがあります。これは、髪の内部の結合を必要以上に切断しすぎてしまい、髪がハリ・コシを失う(深刻なダメージ状態)ことです。
-
② 高温のアイロン(熱ダメージ)
髪が薬剤で濡れている(または内部に水分が残っている)状態で、高温のアイロンを当てると、髪内部で急激な水分蒸発が起こり、タンパク質が変性(ゆで卵が生卵に戻らないのと同じ)してしまうことがあります。これがゴワゴワ・チリチリとした質感(ビビり毛)の直接的な原因の一つです。
-
③ ダメージの見極め不足(診断ミス)
これが、失敗につながる根本的な原因として重要です。 お客様の髪は、一見健康そうに見えても、過去のカラーやブリーチ、日々のヘアアイロンによって、内部の「ダメージ許容量(体力)」がほとんど残っていない場合があります。 その状態を見極められずに、健康毛と同じ薬剤や温度で施術を進めてしまうと、髪は施術に耐えられず、ビビり毛になってしまうリスクが高まります。
4. 失敗を防ぐための「2つの予防法」
では、どうすればビビり毛を防げるのでしょうか? サロン選びとお客様自身の行動、両方が鍵となります。
-
予防法①:サロン(美容師)の診断力と技術力
失敗を防ぐ鍵は、「pH・還元力・温度」の3つを、お客様の髪の状態に合わせて精密にコントロールするサロンの技術力にあります。マニュアル通りではない、オーダーメイドの施術ができる美容師を選ぶことが重要です。
-
予防法②:お客様自身が「施術履歴」を正確に伝える
最も重要な予防法の一つです。「診断ミス」を防ぐため、 カウンセリング時にご自身の髪の履歴を正確に伝えてください。
- 「いつブリーチしたか」(ハイライトやインナーカラーも含む)
- 「いつ黒染めをしたか」
- 「毎日のヘアアイロンの温度は何度か」
これらの情報が、美容師が最適な薬剤を選ぶための最大のヒントとなります。
5. もし「ビビり毛」になってしまったら?(対処法・治し方)
万が一、ビビり毛になってしまった場合の対処法(治し方)を解説します。
まず知っておくべきことは、タンパク質変性を起こしたビビり毛は、元の健康な状態には二度と戻らない(完治しない)ということです。
「治す」のではなく、現状の質感を少しでも「マシにする」ためのケアが中心となります。
- サロントリートメント: 髪の内部を補強し、擬似的に質感を整える「酸熱トリートメント」や「髪質改善トリートメント」を相談する。
- ホームケア: ダメージ補修効果の高いシャンプー・トリートメント(アミノ酸系、ケラチン系)に変え、洗い流さないトリートメントを必ず使う。
- 熱を避ける: ヘアアイロンの使用を中止し、ドライヤーも低温で素早く乾かす。
最も確実な「治し方」は、ダメージ部分を物理的にカット(切る)ことです。
6. 酸性ストレートと「ビビり毛」のFAQ
Q. ビビり毛はセルフケア(自宅)で治せますか?
A. いいえ、治せません。前述の通り、ホームケアはあくまで「現状の質感をマシにする」ための対症療法です。セルフで酸熱トリートメント剤などを使用すると、逆に髪が硬くなりすぎるリスクもあるため、まずは専門のサロンに相談してください。
Q. ビビり毛を直すために、もう一度「酸性ストレート」をかけられますか?
A. 絶対にかけてはいけません。 髪に体力が全く残っていない状態のため、さらに薬剤を乗せると、髪が切れたり溶けたりする最悪の事態(断毛)につながる危険性が非常に高いです。